活動報告

新年のごあいさつ(令和5年1月)

2023年01月01日 お知らせ

 明けましておめでとうございます。
 九州の自立を考える会の会員並びに関係者の皆様におかれましては、ご健勝にて新しい年を迎えられたことと心からお慶び申し上げます。

 昨年2月に勃発しましたロシアとウクライナの戦争は、残念ながら、いまだ終結の兆しが見えず、尊い人命が失われ続ける越年となりました。一刻も早く戦火が止み、ウクライナの人々が平穏な生活を取り戻されることを願ってやみません。
 当会は、より良い社会と生活の実現に向けた成長戦略の提言と、その戦略に基づく政策の推進に取り組んでいますが、どのような成長戦略も、平和で安定した社会でなければ意味を持ちえないことを、改めて痛感しています。
 
 さて、昨年11月、アジア・オセアニアに米国を含めた23の国・地域の獣医師会でつくられたアジア獣医師会連合(FAVA)の第21回大会が、わが国では27年ぶりに、九州では初めて開催され、私は主宰者の公益社団法人日本獣医師会の会長として、大会長を務めさせていただきました。
 この大会は、私がライフワークとして取り組む「ワンヘルス」を中心テーマとし、アジアをはじめ世界中から約2,000名の参加者をお迎えして、COVID-19等の人獣共通感染症対策、薬剤耐性その他の人と動物と環境の健康を一体的に守る「ワンヘルス」の諸課題に関するシンポジウム等も多数開催いたしました。いずれも熱心な意見や情報の交換が行われ、関係者が、ワンヘルスに関する知見を深め、共有することができました。 
 さらに、最終日には、大会の成果を踏まえ、ワンヘルスアプローチの実践活動をアジア・オセアニアから世界に発信することを宣言する「アジアワンヘルス福岡宣言2022」を採択することもできました。
 また、一般の方々も自由に参加し、ワンヘルスの意義を実感できるイベントとして同時開催されました「福岡県”One Health”国際フォーラム」や農林水産まつりも大盛況となりました。
 このように、今回のFAVA大会が成功を収め、大きな成果を上げることができましたのも、会員の皆様をはじめ関係者の温かいご支援とご協力の賜物であり、心から御礼を申し上げます。

 ここで、会員の皆様にご報告がございます。
 この大会に際し、私はFAVAの会長に就任いたしました。
 また、「アジアワンヘルス福岡宣言2022」にのっとり、ワンヘルス実践の取組を福岡からアジアへ、そして世界へと広げていく拠点となるFAVAの日本事務所として、「FAVAワンヘルス福岡オフィス」を開設することも決定されました。オフィスの場所は、福岡県のご協力で福岡市の中心部にあるアクロス福岡内に決まり、現在、今年半ばのオープンを目指し、準備を進めています。
 人と動物の健康と環境の健全性を一体的に守るワンヘルスのアプローチは、あらゆる成長戦略を支える社会基盤であると同時に、それ自体が、新たな経済価値、新たな産業を生み出す力を秘めたコンセプトです。したがって、この事務所を九州に設置することの意義と効果は、FAVAのワンヘルス推進拠点とすることだけに留まらず、当会との連携により、新成長戦略の推進拠点にしたいと考えています。
 また、この「FAVAワンヘルス福岡オフィス」は、福岡県が1997年に国連ハビタット福岡本部を誘致・開設して以来、九州で2つ目の国際機関となります。
 私どもは、国際社会における「九州」の知名度と位置づけを向上させ、海外諸地域との人と経済の交流を促進することによって九州の成長発展に繋げることを目指してまいりました。この取組において極めて効果的な施策が国際機関の誘致です。
 実は、昨年7月、この国連ハビタットのマイムナー・モハメド・シャリフ事務局長がナイロビからおいでになった際、福岡県議会の議長や国際交流推進議員連盟の皆さんとともに、シャリフ事務局長と意見交換を行いました。その中で、この「FAVAワンヘルス福岡オフィス」の誘致についてお話をさせていただきましたところ、実現した暁には、国際機関の福岡事務所同士で、共同のプロジェクトを立ち上げようということで意見が一致いたしました。今後、是非、実現してまいりたいと考えています。
 このように、この「FAVAワンヘルス福岡オフィス」の可能性は無限です。まさしくこれから、九州の自立を考える会の会員の皆様方のお力添えも頂きながら、このオフィスを活用し、我々の提言等の実現に邁進していかなければならない時が来たとの思いを新たにしています。

 今年は、当会のこれまでの取組に関する新たな展開も予定されています。

 当会は、平成29年7月 九州北部豪雨によって被災した日田彦山線の復旧に取り組んでまいりましたが、その日田彦山線が、今年の夏、いよいよ「BRTひこぼしライン(正式名称:日田彦山線BRT)」として開業いたします。
 皆様ご存じのとおり、九州北部豪雨は、福岡県の朝倉市、東峰村、添田町及び大分県日田市に甚大な被害をもたらしました。その際、日田彦山線は、東峰村大行司駅舎の土砂による倒壊や橋梁の損傷をはじめ63箇所もの線路被害のために添田町と夜明駅(日田市)間が不通となりました。
 そこで、当会は、九州の成長発展にとって地域の公共交通の維持は不可欠であるとの思いから、松本國寛理事を座長とするプロジェクトチーム「日田彦山線復旧問題対策協議会」を立ち上げ、何度も地元の皆さんのご意見を伺いながら「日田彦山線沿線地域振興基本構想」を策定し、日田彦山線の復旧と沿線地域の振興に取り組んでまいりました。
 「BRTひこぼしライン」は、その一つの成果ですが、今回の開業に伴い、以前の鉄道駅(12駅)に加え、学校や病院など生活に密着したエリアに、新たに24のBRT駅が増設され、これまで以上に利便性の高い交通機関になります。
 また、沿線各地域の振興策についても、昨年、先端的なデジタル拠点「テレワークテラス宝珠」が東峰村に開設されたことに続き、今年4月には、添田町の道の駅勧遊舎ひこさん裏の山林に、自然共生型アウトドアパーク「フォレストアドベンチャー」がオープンする予定です。また、東峰村では、BRT開業に向け、村内の二次交通が整備されることになっています。
 さらに、沿線地域を対象とする海外映画等ロケーション誘致事業も進行しており、今年は、誘致に向けて沿線地域の魅力的な景観、伝統文化等を紹介する映像制作WEBサイトが立ち上がることになっています。
 
 当会は、また、「スポーツ・スポーツ産業の振興」を成長戦略の柱の一つとしており、九州各県が連携して様々な国際大会を九州各地で継続的に誘致・開催し、九州をスポーツのメッカとして広く世界に発信すること、そして、それにより九州の国際的な認知度を向上させることを提言していますが、今年は、世界規模のスポーツイベントが九州で次々に開催されます。 
 まず、2月には、アジア初開催となるダンススポーツの国際大会「WDSF Breaking for Gold World Series in 北九州」が北九州市で、7月には、コロナ禍のため昨年から延期になっていた「世界水泳福岡大会」が福岡市で、そして、10月には、九州(福岡県、熊本県、大分県)で初めて開催される転戦型の国際サイクルロードレース大会「ツール・ド・九州2023」が実施されることになっています。
 スポーツは、コロナ禍で長く沈んでいた人々の心を明るくし、勇気づけてくれますし、健康の維持・増進に極めて有効な活動です。当会としても、さらに多くの国際大会が九州で開催されること等によりスポーツに対する皆さんの関心が高まり、ワンヘルスの推進に寄与してまいりますよう、今後とも、振興策を積極的に提言してまいる所存です。

 最後になりますが、会員の皆様、そして九州の政財界、行政機関の皆様方におかれましては、引き続き、当会の活動へのご理解とご支援を賜りますこと、並びに、COVID-19が一刻も早く収束し、社会が落ち着きと明るさを取り戻すとともに、本年が皆様にとって大きな飛躍の年となりますことを祈念いたしまして、年頭のご挨拶といたします。

令和5年1月
   九州の自立を考える会
                     会長 藏内 勇夫

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