第6回「九州・沖縄未来創造会議」、第3回「広域行政懇話会」が開催されました。
2013年02月19日 お知らせ
平成25年2月6日、第6回「九州・沖縄未来創造会議」と第3回「広域行政懇話会」が、福岡市のホテル日航福岡で開催されました。
「九州・沖縄未来創造会議」は、国主導ではない地方の視点に立った道州制を含む国・地方の将来のあり方について情報及び意見を交換することを目的とし、九州・沖縄各県議会議員4名の計32名で構成されています。
また、「広域行政懇話会」は、同会議の分科会として設置され、九州地方知事会が設立を目指す「九州広域行政機構(仮称)」に関する審議に当たり、調査、論点整理、協議等を行うことを目的としています。
「九州・沖縄未来創造会議」
九州各県議会議長会会長の石井秀夫佐賀県議会議長(本会会員)は、「前政権で検討された国の出先機関改革と、新政権で検討される道州制基本法案は、いずれも新しい『国のかたち』を創ることである。地方の声をしっかりと聞き、十分な国民的議論を踏まえて行われるべきである」と挨拶されました。
福岡県議会の松本國寛議長(本会会員)は、「これからの道州制議論の動向に合わせ、九州・沖縄未来創造会議と広域行政懇話会のあり方について、方向性を出していただきたい。西から『国のかたち』を変えていく」と挨拶されました。
九州・沖縄未来創造会議の藏内勇夫会長(本会会長)は、「国の出先機関改革や『九州広域行政機構(仮称)』構想に対し、県議会側も前向きに検討してきた。新政権は道州制導入を公約に掲げたが、もとより九州では道州制についても官民問わず議論が行われ、本会議においても研究・検討を重ねている。地方分権・広域行政への道のりは紆余曲折があるだろうが、着実に進めていくためにも、声を上げ続けなければならない」と挨拶されました。
議事では、元参議院議員で、自由民主党道州制推進本部の、久世公堯(くぜきみたか)参与が、自由民主党が昨年発表し、安倍内閣が早期制定を目指している「道州制基本法案」について、講演されました。
久世氏は、現在、同法案についてさらに議論を深めている最中であるとしたうえで、「地域で判断できることはできるだけ地域に任せ、地方分権を一層徹底しなければならない。少子高齢化がかつてない速さで進んでいく中、道州には、それに十分対応できる能力と権限を付与しなければならない。あわせて、地方自治の主体として、基礎自治体を編成し、住民に身近なことは全て自ら決定できる自己完結型の地方公共団体としていく必要がある。」と強く述べられました。
次に、平成18年に制定された「道州制特区推進法」に基づき、全国に先駆けて道州制のモデルとなる「道州制特区計画」を実施している北海道の取り組みについて、北海道総合政策部の藥袋浩之(みないひろゆき)主幹が講演されました。
藥袋氏は、北海道が積極的に働きかけた、道州制特区推進法の成立までの経緯を述べられました。そして、「道州制特区推進法を使って国へ権限移譲の提案をし、道に権限移譲をしてもらう。さらに住民に身近なところでやれる事務については市町村にやってもらおうと、道から市町村へ権限委譲を進めている。」と述べられた後、移譲後の道民や利用者の利便性が向上している一方で、一部では依然として窓口が国と道に分かれていることや、財源措置を図るためのルール確立などの課題があること等を説明されました。
講演後の意見交換では、福岡県の浜﨑達也委員(本会会員)から、「北海道庁と政令市や中核市との関係に変化はあるか」と質問があり、藥袋氏は、「今のところはないが、今後保健所に関するもの等について、権限の問題が出てくるだろう」と回答されました。
最後に、この2年間の九州・沖縄未来創造会議の取り組みについて、九州各県議会議長会へ報告するに当たり、会長に報告案を一任することとなりました。
「広域行政懇話会」
福岡県議会の松本國寛議長は、「今後ますます道州制がクローズアップされてくると思われるが、国の出先機関の見直しは、第一次安倍内閣で設置された地方分権改革推進委員会でも議論されてきたものであり、その受け皿として、『九州広域行政機構』は、道州制の本格的な検討に向けたステップの一つになると考える」と挨拶されました。
広域行政懇話会の藏内勇夫座長は、「これまで、広域行政懇話会では、九州広域行政機構(仮称)の概要や国の出先機関改革について協議を行ってきた。今日の会議を通じ、関西広域連合の設立経緯や、構成団体間の利害調整の方法をお聞きし、理解を深め、九州でも一体となって広域的な課題に取り組んでいきたい」と挨拶されました。
議事では、全国で初めて都道府県間の広域連合を立ち上げた関西広域連合から、設立経緯やその過程での苦労されたこと等の説明がありました。
関西広域連合からは、連合議会の横倉廉幸議員(よこくらやすゆき・大阪府議会)、中小路健吾議員(なかこうじけんご・京都府議会)、連合本部事務局の中塚則男事務局長(なかつかのりお)等が参加されました。
中塚事務局長は、「東京一極集中に対して自主・自立の関西を作っていきたいという志を持ってスタートした。『関西全体の広域行政を担う責任主体づくり』が眼目である。例えば、この30年で起こると言われる南海トラフの大地震に対して、防災・減災から復旧・復興まで、関西全体で完結した行政を行う主体を作りたい。このため国の出先機関の機能と統一する必要があり、国の出先機関の丸ごと移管が大きなテーマになった。」と述べられ、新政権への取組方針等今後の課題についても説明されました。
中小路議員は、「連合議会の運営ルールは全くの白紙から積み上げ、理事会や3つの常任委員会を設置して運営していくことになった。政令市の加入により議員定数問題が生じたが、暫定的な措置を行い現在も見直し論議を行っている。連合の各部局の業務が担当府県に分かれているため、情報共有のあり方が課題である」等と述べられました。
横倉議員は、「我々は、(府県の)利益代表として出ているのではなく、あくまでも関西の広域的な視点で議論を戦わせ、関西全体にとって何かいいかということで判断したい。政令市から1名議員が出ているが、1名では不都合もあり複数の議員を出したい、という声が出ており、現在議員定数について正副議長案による議論がなされている」と説明されました。
質疑では、福岡県の吉村敏男委員(本会副会長)が、「関西広域連合は、国の出先機関移譲の受け皿になることが設立の主要な目的と聞いているが、移譲の見通しがつかない状況で、連合存続の見通しはどうか」と質問されました。これに対して中塚事務局長は、「現時点では、国の道州制への動きへの対応とともに、広域行政課題に対応した統治体を作りたいということである。例えば、エネルギー問題に対する関西のポテンシャルを生かした対応、社会インフラ整備に関する関西広域連合という仕組みを使った対応、或いは、関西イノベーション国際戦略特区を使った規制緩和への対応等、産業基盤の推進や府民県民の生活を充実させるためにやることはまだまだある」と回答されました。
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