広域行政セミナー(第4回)を開催しました
2013年05月31日 セミナー
平成25年5月20日、ホテル日航福岡(福岡市)において、九州各県議会議長会、九州地方知事会、九州地域戦略会議及び福岡県のご後援をいただき、第4回広域行政セミナーを開催しました。当日は、来賓をはじめ、本会会員である九州各県議会議員や企業関係者など約450名の皆様にご参加いただきました。
開会にあたり、吉村敏男副会長が「『道州制基本法案』の検討が進められているが、内容があまり具体的に示されていない。地方分権改革については、財源と権限の移譲の先に道州制があると考えており、権限等の移譲によって地方の活力を生み出し、それが国の活力につながっていくという流れでなければならない。道州が国の出先機関となる危険性もはらんでおり、我々が思い描く道州制を実現するにはよほどの馬力と計画性がないと難しい」と挨拶しました。
藏内勇夫会長は「われわれは国と地方の役割分担を今一度考え直し、わが国が国際競争力を確保するためにも、私たち自身が九州の成長戦略、広域行政の施策を研究していかなければならない。単に都道府県をくっつけただけの道州制には反対である。そうならないためには、地方が自ら考え、国は地方の意見を聞きながら議論を進めていくことが大事である。統治機構のあり方を変えていくには大きな政治エネルギーと国民の理解が必要であり、このセミナーを機に、国のあり方について、皆様と一緒に考えていきたい」と挨拶しました。
当日は来賓として松山政司外務副大臣、木原奉文九州各県議会議長会会長(佐賀県議会議長)、松本國寛福岡県議会議長、山﨑建典副知事にご臨席いただきました。
松山政司外務副大臣は「中央政府にこれほどいろいろな権限が集中しているのかということをここ数年で改めて認識した。地方分権という言葉が使われて久しいが、どういう形で分権社会をつくっていけばいいのかを中央で真剣に議論されてこなかったのも事実である。そういうときだからこそ、国と地方の関係をいま一度しっかり議論して形にしていくいいチャンスではないか」と挨拶されました。
木原奉文九州各県議会議長会会長は「道州制については地方分権を推進するためのものであることが大前提であり、新しい国のかたちをつくるため、国と地方のあり方や役割等をきちんと見直し、双方にとってより良いものとなることが肝要である。そのためには、地方の声をしっかりと聞き、十分な国民的議論を踏まえた上で進められるべきであり、九州議長会としてもそのためにしっかりと取り組みたい」と挨拶されました。
松本國寛福岡県議会議長は「地方分権を巡る状況は道州制の推進へと再び舵が切られた格好になっている。福岡県議会でも道州制には大きな関心を持ってこれまでも議論してきたし、今後もいろいろな機会を捉えて議論を重ねていきたい。その際大事なのはかたちだけの制度をつくるのではなく、どういう道州制か、その中身をきちんと議論することである」と挨拶されました。
また、山﨑建典福岡県副知事が「九州地方知事会は経済団体とともに道州制に関する議論に地方の声を反映させることを目的に、地方分権型国家を目指した道州制『九州モデル』の策定やPR活動に取り組んできた。国の出先機関改革への取り組みとあわせ、引き続き、九州が一体となって分権型社会の確立に向けた取り組みを行っていく」との小川知事からのメッセージを披露されました。
〈講演〉
次いで、総務大臣政務官で参議院議員の片山さつき氏から「アベノミクスと地方分権『道州制はどうなる』」と題した講演が行われました。
講演では、道州制基本法案を巡る動向について「道州制については、自民党道州制推進本部が基本法の骨子案を出している。その基本理念として明記されている、中央集権体制を見直し、国と地方の役割分担を踏まえ、道州及び基礎自治体を中心とする地方分権体制を構築するなどの点についてきちんと推進していかなければいけないというのが与党の考えである。
しかし、昨年12月の政権交代以前、道州制基本法案を党内でまとめる段階で地方六団体と徹底的な議論ができなかった。そのことで党の道州制推進本部の会議でも、なぜいま道州制なのか、現在の統治機構のどこに問題があってどうすればその問題を解決できるのか、そういったそもそも論をきちんと議論してきているのか、という疑問の声があがっている。そこで、せっかくここまで進めてきたのだから、現実のものとするためにもさらに大事に進めていかなければならないということで、地方六団体とのヒアリングを始めたところ。全国知事会などからは慎重論が出されており、特に小さな市町村からは再合併への懸念も示されているが、道州制は国のあり方を根底から見直す大改革であり、国民的議論が必要である。特に地方自治体の声を十分に聞きながら丁寧に議論を進めていくことが必要と考えている。
我々がどういう道州制を目指しているのかが必ずしも十分に説明できていないために、地方の不安を払拭できていないが、今後、この議論をしていく上で必ず問題となってくるであろう道州公務員の身分や財源など『ヒト・モノ・カネ』の問題でもめたとしても、それを超える『技』と『知恵』をもって解決して、真に国が強くなるための道州制についてみんなで考えていきたい。そして、そのモデルとなることができるのがこの九州ではないか」と九州、そして当会の取り組みに大きな期待感を示されました。
質疑応答では、小池邦弘福岡県議会議員からの「国と地方の役割分担を見直し、国の権限と財源をあわせて移譲することが必要ではないか」との問いに、片山氏からは「道州制はその方向で進めるべきで、道州がひとつの自立した主体として国家機能の一部を担えるようになることが理想である。そこに至るまでの議論が不足しており、そこを乗り越えていかないといけない」との回答がありました。
また、後藤元秀豊前市長からの「平成の大合併では合併の負の部分がクローズアップされている。この点を乗り越えて行くため、基礎自治体としてはどのように考え、訴えていけばいいのか、小さな自治体が受けるメリットの側面から教えていただきたい」との問いに対しては「道州制で東京一極集中がなくなり九州の中でいろいろな問題を全部解決できるようになれば、九州全体の市町村にとっても物事を早く決めることができる。これが一番のメリットではないか」との回答がありました。
最後に井本宗司理事が「先日、九州市長会において国から説明を受ける機会があったが『こういうふうになりますから地方は準備してください。大変ですよ』というようなボールの投げ方であった。そうではなくて『こうしましょう』という提案をお互いにやっていかなければいけない。モデルや特区、措置法をつくる等個々の問題も大事であるが、国を挙げて何をやるかを一緒に考えていく大事な時期に来ているのではないか。その進め方として、この九州の自立を考える会は全国のモデルになれるのではないかと思うので、これからも一緒に議論していければありがたい」と挨拶し、閉会しました。
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