活動報告

第12回セミナーを開催しました

2017年03月02日 セミナー

 平成29年3月2日、福岡市内で第12回広域行政セミナーを開催したところ、300名を超える方々にご参加いただきました。

 開会にあたり、原口 剣生副会長が「マスコミ報道で、平成28年の農林水産物の輸出額が約7,500億円になったとあり、また、日本の和食がユネスコ無形文化遺産の指定を受けた。日本酒や米については確かに輸出額が増えていると思うが、TPPの問題やアメリカでトランプ大統領が就任されたことで、世界は大きく揺らいでいる。本日のセミナーでは甲斐先生からこれからの日本の食、農業に関してお話をしていただけるので、勉強させていただき、九州が一体となって取り組むべきことと、その中で私たちがどのような役割を担えるか考えていきたい。」と挨拶しました。

 また、藏内 勇夫会長が、「本日は第12回目の広域行政セミナーを開催したところ、大変多くの皆様方にご参加いただき、感謝を申し上げる。会報誌天地人に寄せていただいた鈴木大地スポーツ庁長官のメッセージでは、九州はスポーツ資源の宝庫と高く評価していただいたが、我々の調査研究でも、九州は各分野においてポテンシャルが極めて高い地域であることが実証されている。しかし、そのポテンシャルを最大限に生かしているかが問題であり、我々はそのために政策提言を行ってきた。今後は、この政策をきちんと実現し、さらに前進させていくことが肝要である。
 そこで、本日は、九州のポテンシャルが非常に高いと言われる農業分野についてご講演をいただくことにした。今後の農業戦略、九州でどういう農業を展開していくべきか、大変貴重な講演になると思っている。これからも、自立の会の取組の成果が九州一円に大きな広がりを見せ、九州が本当の意味で自立をし、日本を支えることができるような地域に発展するため努力を重ねていく決意である。」と挨拶しました。

 来賓を代表し、中尾 正幸福岡県議会議長からは、「九州の自立を考える会の皆様には、日頃から九州の活力ある発展と地方分権の実現のため積極的に活動を展開しておられることに深く敬意を表する。今回のセミナーでは、「九州の食」をテーマとした講演が行われると聞いているが、農林水産業の振興と観光振興は切っても切り離せない関係にあると考えている。本日は、そのような観点も含めて九州の農業をどう発展させていくかをしっかり学びたい」との挨拶を頂戴しました。

 次に、小川 洋福岡県知事からも、「農林水産業の経営力の強化については、九州の自立を考える会からも、九州の成長戦略の大きな柱の1つとして政策提言をいただいた。農林水産業は言うまでもなく、私たちの生活と食を支える重要な産業である。県としては、福岡県の農林水産業をしっかりと守っていくとともに、攻めの農業をめざし、ブランド化、輸出促進、6次産業化に力を入れていき、また、意欲ある担い手の確保や地産地消にも努めていく」との挨拶を頂戴しました。

 講演では、九州大学名誉教授で、中村学園大学、中村学園大学短期大学部の甲斐 諭学長が「食料供給基地九州の課題」をテーマに九州の農業の現状、特に野菜と畜産、技能実習生制度が果たしている役割、自治体間連携の必要性、輸出に関する問題点や観光資源としての意義等について、ご講演をいただきました。
 まず、九州の農業の現状について、「野菜産地は労働力不足で外国人技能実習生に依存している。畜産農家は経費負担の増大が問題で、中山間地、傾斜地が多く農業経営の大規模化、効率化も困難である。」との説明がありました。
 また、「最近、輸出の伸びが止まってしまったが、和牛は伸びている。和牛の産地は九州であり、和牛を伸ばさないと九州の地方創生はない」との話に続き、北部九州で屠畜場が乱立し、赤字になっていること、対米輸出基地やハラールの食肉処理場がないこと等を指摘し、自治体間連携の必要性を示唆されました。
 さらに、輸出の問題については、パッケージが多言語になっていないことやコールドチェーンの問題点、輸出農家、輸出ほ場等を決めて国を挙げて輸出をバックアップしている韓国の事例紹介とわが国の輸出体制の問題点に関するお話があり、最後に、スイスの美しい風景を守っているのは小規模の酪農家であり、その収入の大半は補助金であることを紹介し、農業は観光資源としても重要であり、これを支えるシステムを考えていかなければならないと提言されました。
 会場からは、輸出拡大のために何が必要かについて多くの質問があり、甲斐学長は、「九州一円の農産物の安全性を各県の連携で確保することや輸出について統一的な行動をとることが必要。その意味で、今回、福岡農産物通商が九州一円の農産物を取り扱う九州農産物通商になったのは大変良いことである」との話や「輸出農家を指定し、育てることが必要で、そのために九州で認証組織をつくってはどうか」との提案がありました。

 閉会にあたり、森下 博司理事が、「現在、九州・沖縄未来創造会議で九州・沖縄が一体となって農林水産物の海外への輸出戦略の検討を進めている。講演を聞いて、参考になる点が多々あったので、自立の会からも報告をさせていただく。自立の会としては、会員をはじめ九州の政財界、行政の皆さんと一緒になって協力し合い、九州の成長のために何ができるか、ともに考え、ともに行動を起こしていきたいという決意である。今後とも藏内会長を中心に皆さんとともに協力してまいりたい」と挨拶しました。

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