活動報告

シンポジウム「令和」の時代を考える、臨時総会

2019年05月31日 セミナー

 令和元年5月31日、「シンポジウム『令和』の時代を考える」を福岡県議会との共催にて福岡市内で開催いたしました。
 また、シンポジウム終了後に、臨時総会を開催いたしました。

              ・・・ シンポジウム「令和」の時代を考える ・・・

 今回のシンポジウムでは、会員の皆様以外にも多くの一般の皆様にご参加いただきましたので、まず冒頭に、会場の皆様へ役員の紹介をいたしました。

<役員紹介>右から 藏内 勇夫 会長  原口 剣生 副会長  吉村 敏男 副会長 森下 博司 理事  井上 忠敏 理事
(参考:唐池 恒二 理事、井本 宗司 理事、林 裕二 理事は、公務等により欠席)

 そして、開会にあたりまして、藏内 勇夫 会長から会場の皆様に次のように挨拶を申し上げました。
 「奈良大学文学部 上野 誠 教授は、先生が福岡やその近くで講演などをされる時には、時間が合えば必ず駆けつけて万葉集などの貴重なお話を聞かせてもらっていて、長きにわたってご交誼いただいている間柄。今回、先生に、『令和』という言葉の時代背景やこの新しい時代を迎えて何を考えていかなければならないかなどについて、講師となっていただき我々にお話願いたいと依頼したところ、快くお引き受け頂くことができた。先生、本日は何卒よろしくお願いする。
 我々『九州の自立を考える会』は、これまで講演会等を開催してきて8年目を迎える団体である。世の中は大きく変わっても、人が歩いたり船に乗って移動したりしていた140年前に決まった47都道府県という国の統治システムは何ら変化していない。これは世界的に見ても極めて珍しいことであり、わが国の行き詰まったこの状況をどうすれば打破できるかを考えた時に、これまでのピラミッド、富士山型の中央集権ではやっていけないということで、九州が一体となり九州から日本を支える時代をつくり全国に波及させていく世界の先進国では既に出来上がっているアルプス型の日本をつくるために模索を続けている団体である。これまでに、観光振興、農林水産業の経営力強化、先端中小企業育成と九州経済を支える多様なエネルギー供給戦略、空港港湾等機能強化・その他インフラ整備、スポーツ振興・スポーツ関連産業の育成という5本の柱による『九州の成長戦略に係る政策提言』を策定したが、その内容もかなり実行に移っている。本会理事の一人であるJR九州の 唐池 恒二 会長が考えられ世界に打ち出した九州7県の潜在力を引き出して観光振興、九州の発展に結び付けていこうという『ななつ星』こそ、九州が世界に発信した成長戦略である。
 『令和』という時代を迎えたが、この言葉が福岡県の大宰府に縁がある万葉集の歌の序文から引用されたことで、こういったものを対象に、この時代をどう生き抜いていくのか、また、どのように九州の発展に資するのかといったことを考えるためにもこのシンポジウムを是非成功させたいという思いである。この『令和』という時代、そしてこの言葉が広く福岡県民に慕われ、夢多き福岡県、そして九州づくりに繋がるような時代になるように、と願っている。」


 また、福岡県議会 栗原 渉 議長は、次のように共催者としての挨拶をされました。
 「『九州の自立を考える会』が、九州の活力ある発展と真の地方分権の実現のため、日頃から積極的に活動を展開されていることに、深く敬意を表する。今回、同会とともに、このシンポジウムを開催できたことを大変うれしく思うとともに、県民の皆様をはじめ多くの方々にご参加いただき感謝申し上げる。
 今、直面している人口減少の問題、特に地方では、若年人口の流出により地域経済の活力が奪われ、その影響が既に大きくなっている実情がある。こうした中、同会は、九州の経済、そして地域づくりを活性化し、人口減少という大きな課題を克服して、九州からわが国の新しい成長をリードしていくことを目指し、平成26年10月に、五つの柱、約30項目からなる総合的な成長戦略を提言された。
 例えば、国際的スポーツ大会やそのキャンプ地の誘致などを提言され、同会としても誘致にご尽力された結果、ラグビーワールドカップ及び来年の東京オリンピックのキャンプ地数で福岡県は全国トップクラスの実績を上げるなど、この提言を受けて福岡県では、「スポーツ立県」を政策の柱に据えた取組が進められている。観光振興についても、宿泊税が、県及び福岡市において導入が決定され、さらに北九州市でも検討されたことは、ひとえに、同会の活動の成果と言える。さらに、福岡空港と北九州空港の一体的な運用も提言され、このたびの福岡空港運営委託に当たっても北九州空港との連携が条件となるなど、次々に実現し、同会の政策提言は、大きな成果を上げている。
 『令和』という新しい時代も、福岡県議会は、引き続き、同会の 藏内 勇夫 会長との連携の下、九州各県の議会とも協力して、国に対し、地方創生の確実な実現に向け、必要な財源の確保や所要の政策の実施を求めていく。」
 

 次に、来賓の福岡県の 大曲 昭恵 副知事からご挨拶を頂きました。
 「福岡県の観光振興政策は、『九州の自立を考える会』による福岡、九州の発展のための素晴らしい提言をもとに進めてきた結果、数多くの成果をあげてきた。同会は、地方創生・地方分権型社会の実現に向けて積極的に活動され、また時代の先を見越す政策を提言されていることに心から敬意を表する。
 福岡県では、提言をもとに観光政策を進めてきており、今では海外から多くの方々に来ていただいているが、今後は、こういった成果を県内各地に広げていくことが大事になる。そのための財源の確保の手段として宿泊税の導入の検討を進めてきたが、そこで問題となったのが福岡市との調整。宿泊者・宿泊事業者の負担の軽減を図ることを頭に据えて県と市それぞれが課税することで調整がついた。これも同会の 藏内勇夫 会長とその会員皆様のご指導・ご尽力によるものと感謝する。今後は、この貴重な財源をどのように使い、いかしていくかが課題であり、福岡市を含め、県内各自治体・関係団体の皆様からのニーズやご意見を十分踏まえて進めていくが、これからもご助言頂けるよう何卒よろしくお願いする。
 時代は『令和』となったが、大宰府という場所ということだけでなく、歴史遺産をどうするかが今後重要。古代ということでは、例えば、筑紫君磐井といった中央政府よりも優れた武将に代表されるように、地方の方々が活躍した時代。福岡県にはわが国にお茶をもたらしたという説もある『徐福』や筑紫手漉き和紙を広めた日源上人などの歴史的遺産がある。このような歴史ロマンや中国、韓国との関係の深さを磨いて、海外の方々に福岡・九州を訪れて頂けるような取り組みを進めていきたい。」

 また、来賓の太宰府市の 楠田 大蔵 市長からもご挨拶をいただきました。
「本日の講師、上野 誠 教授には、太宰府市に何度も足をお運び頂いていて、この度の『令和』対応の相談もさせて頂いている。太宰府市は、新元号『令和』に大きなご縁を頂いており、改めてわが国の政治・外交・防衛の要衝であった1300年を超える歴史に注目頂いている。安倍総理自身も先日の『まち・ひと・しごと創生会議』にて、大宰府について触れて頂き『令和』はまさに地方が主役の元号であり、まさしく地方の時代としていかなければならない、と述べておられる。太宰府市としてもこの頂いた機会を最大限にいかして、福岡、さらには九州自立の牽引役としての役割を果たせるよう全力をあげていくので、皆様の変わらぬご指導ご鞭撻をよろしくお願いする。」


司会進行 松尾 統章 理事兼会計責任者

 基調講演は、「新元号『令和』の希求するもの─万葉の世界─」の題で、奈良大学文学部の 上野 誠 教授からご講演いただきました。
 令和の典拠となった万葉集の「梅花の歌三十二首」の序文を中心に講演は進められ、時折会場の大きな笑いを誘うユーモアも交えられながら「初春の令月にして気淑(よく)風和(やわらぐ)」という平和で優雅な歌の意味や、8世紀の万葉集が生まれた頃の時代背景を解説いただきました。令和の年号に込められているのは、平和な風景、お花見や田園の風景を褒め称えて宴会をするのは、人生が短いということを知っており、だからこそ遊びが大切、心の平和が大切であるという東洋の理想。一人一人の心の平和を希求していく理想がここにある。東アジアの一員の日本には、足元を見つめる心と世界に目を開く心が大切。そして、大宰府は都から見て鄙(ひな)の地。しかし、その鄙が元気でなくてはならないという思想がここにある。また、年号は巻き戻しの時間を持っており、ここから頑張ろうということができる。」とのお話を頂きました。

 


   奈良大学文学部 上田 誠 教授による基調講演

 その後の座談会では、上野教授とともに、九州国立博物館の島谷弘幸館長、大曲福岡県副知事に登壇いただき、大陸との拠点であった九州・福岡・大宰府にまつわる歌の序文から新元号がつけられたことから、国際化や地方の時代などといった現代的課題もあるのではないか等といったことについて、意見を交わされました。アジアに目を向けた世界的な国際感覚を育てる九州国立博物館であることを感じ取っていただけるようにしたいといった話や、アジアの玄関、福岡県・九州では、地域同士、そして人同士が文化で結ばれていくことも重要な意味があるといった意見が出されました。

<座談会> 左から 大曲福岡県副知事 上野奈良大学文学部教授 島谷九州国立博物館長


 最後には、本会出席役員全員と来賓の方々が壇上に登り、会場と一緒になって「初春の令月にして気淑(よく)風和(やわらぐ)」を唱和し、大変盛況のうちにシンポジウムを終了しました。

                 ・・・ 臨時総会 ・・・

 開会にあたり、 原口 剣生 副会長から会員の皆様に次のように挨拶を申し上げました。
「『平成』から『令和』に移り、我々は地方の時代をどうしていくべきか。『平成』の、特に昨年は大変災害が多く、これら災害に向けても我々は、地方としてどう考えていくべきか。国に対しても地方からどのように丁々発止していくのか。今日は、先のシンポジウムで文化薫る題目でこういった勉強会ができたと思っている。これも本会の 藏内 勇夫 会長が、色々な人材の方々をご存知だからこそ、のことであると心から感謝申し上げる。これからの臨時総会では、九州のロゴマークのことも報告があるので、しばしお時間をいただきたい。『九州の自立を考える会』と福岡県議会のますますの発展を心から祈念する。」

次に議事に入り、以下の議案が審議され、いずれも原案のとおり承認されました。
第1号議案「会則の改正について」
第2号議案「役員の選任について」
第3号議案「予算(2019年暫定予算)について」


議長役を務める 藏内 勇夫 会長

 また、議案の審議に続いて、次の報告事事項について説明を行い、臨時総会を終了しました。
報告事項①「九州の統一的ロゴマークの策定について」
概要:本会「九州の成長戦略に係る政策提言」にて同ロゴマークの策定を提言したものが、九州地域戦略会議で取り上げられ策定されたこと等の経緯、現在九州各県や官民が連携して取り組む事業で活用されていることから、当会の新たなシンボルバッジにすることについて説明。
報告事項②「当会ホームページ内会員専用ページの開設について」
概要:当会のホームページ内に、新たに「会員専用ページ」を開設したこと、会員が当該ページを利用する際のパスワード等について説明。

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